※AIで執筆しています
星の森で見つけた光る子ネコ
しんと静まる星の森。木々の葉はやさしくゆれ、遠くでホタルが瞬き、川のせせらぎは子守歌のように流れています。
その夜、小さな子ネコのルミは眠れずにいました。黒い夜空を映す瞳には、どこか不安げな光がゆらいでいます。毛並みに宿る淡い輝きは、月明かりに呼応して胸の鼓動といっしょにふるえていました。
「どうしてわたしだけ光るの?」ルミがつぶやくと、頭上からフクロウのホクホクがふわりと舞い降りました。ホクホクは森の博士と呼ばれる、物知りで穏やかなフクロウです。
「きみの光は、まだ見つけていない願いを照らす灯りなんだよ」ホクホクはくりくりの目を細めて言いました。「星のしずくを飲めば、その願いが何か分かるかもしれないよ」
ホクホクが教えてくれたのは、森でいちばん高い“ささやきの木”の枝先。そこに星が落とす雫が留まり、夜ごと透明な宝石のように輝くのだそうです。
ルミはドキドキしながらも勇気を出し、ホクホクの広い背に乗りました。ふわりと宙に浮き上がると、夜風がグリーンシダーの葉を揺らし、眠っていたリスたちの尻尾がかすかに震えました。
途中、仲間たちがルミを見上げました。キツネのミミはあくびをかみ殺しながら「がんばれ!」と小さく声をかけ、モモンガのポポは空中でくるりと一回転して応援の輪を描きました。ルミは胸の光を力強く瞬かせ、彼らの眠りへ微かな星屑を振りまき、感謝の気持ちを伝えました。
やがてホクホクとルミは梢の雲に手が届きそうなほど高い場所へ。辺りには夜の冷気に凍った雫が並び、ひとしずくごとに小さな宇宙が閉じ込められているようです。
その中でもひときわ澄んだ雫が、呼吸を合わせるたびにルミの胸と同じリズムで明滅していました。
ルミがそっと雫を口に含むと、星空の冷たいきらめきが喉を通り、代わりに胸いっぱいに温かな眠気が広がりました。それは、毛布に包まれたときのような優しくて甘い重さ。
雫はルミの体からこぼれ、毛並みに溶け込み、無数の光の粉になって宙へ舞い上がりました。ルミは気付きます――自分の願いは「みんなに心地よい眠りを届けること」。
星の粉は雪のように森へ舞い降り、小径で丸くなるハリネズミの背をやさしく照らし、巣穴で目をこするウサギの子のまぶたをそっと閉じました。
遠くの湖では、カワウソの兄弟が舟のような葉っぱに揺られながら、粉のきらめきを鏡に映して夢の中へと沈んでいきます。
更に粉は川の流れに乗り、丘を越え、まだ眠れずにいる人間の村の子どもたちの窓辺へと辿り着きました。窓のすき間からこぼれた粉は、子どもたちの髪をそっと撫で、瞳に星の影を映し、そのまま柔らかな夢をプレゼントしました。
「ほら、願いはもう叶いはじめているよ」ホクホクが囁くと、ルミはホクホクの頭の上で小さくうなずきました。
地上へ降りる途中、風が静かなメロディーを奏でました。ホクホクはそれに合わせて「ゆりかごの歌」を低くハミングし始め、ルミは尻尾の先で拍子をとりました。二人の即席子守歌は、森じゅうをまるで大きなベッドに変えてしまうほど穏やかで温かいものでした。
やがて森じゅうがそっとまぶたを閉じたころ、ルミとホクホクも翼と尻尾で作ったふわふわのベッドにくるまりました。ルミはこころの奥で、光る毛並みが静かに脈打つのを感じました。もう不安はありません。
一番最後に静かになったのは、月に憧れるコオロギの楽団でした。彼らは粉の光を譜面に見立て、そっと弓を置き、最後の音を空へ溶かしたのです。
森は星と粉のカーテンに包まれました。葉の上で跳ねる光の粒が、夜露を抱いたスズランを揺らし、その鈴の音がまた新しい子守歌を編んでゆきます。
こうして星の森は、いつにも増して深い静けさに満ち、夢という名前の花を夜空いっぱいに咲かせました。
そして夜明け前、東の空が薄桃色に染まるころ、一番に目覚めたのは小さなルミでした。光の粉をすっかり使い切った毛並みは、もう月のようには輝きません。それでも胸の奥に灯る温かな光は、静かに続いています。
「願いは終わらない。きっとまた夜が来たら、星の雫は姿を現すさ」ホクホクが瞼の裏から声をかけると、ルミは満足そうに大きな伸びをしました。
夜が去り、朝が来ても、優しい眠りを届ける物語は森の息づかいと共に続いてゆくのです。
「おやすみ、星の森。あしたもきっと、いい夢を。」